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東山職人弾丸ツアー「職人とお寺ルート」

お寺に関係する伝統産業の職人さんの工房を訪ね、その実演を体験するツアー

五条坂界隈 職人さんの工房を訪ねる

2016年11月5日土曜日、五条坂周辺の地域イベント「わん碗ONE」の企画のひとつ、「東山職人弾丸ツアー」に参加してきました。このツアーは、京都造形芸術大学と東山区役所が合同で進めている「手しごと職人のまち東山活性化プロジェクト」が企画するイベントのひとつで、例年開催されているとのこと。今回参加したのは、その中の「職人とお寺ルート」というコースで、お寺に関係するさまざまな伝統工芸品などを製造している職人さんのお店や工房を見学させていただくというものです。

辻畳店

お店は建仁寺のすぐそば
お店は建仁寺のすぐそば
最初に訪れたのは、建仁寺の斜め前にお店を構える辻畳店さん。建仁寺建立時からお寺の畳にかかわる仕事を一手に引き受けられてきたということ。ほかにも、歌舞練場などの京都ならではの仕事もされているとのことでした。
今では機械で製造する工法が主流だそうですが、伝統の手仕事による実演で、畳製造の工程を解説していただきました。「技(わざ)をかけなければ畳はすぐに作れるようになるけど、早ければいいというもんじゃない」、ご主人の言葉です。畳のよしあしは、その完成度にかかっているということでしょうか。
今ではほとんどが機械で製造します
今ではほとんどが機械で製造します
畳には作った職人さんの名前が入れてあるんだそうです
畳には作った職人さんの名前が入れてあるんだそうです

今尾古今堂

工房はお店の裏にあります
工房はお店の裏にあります
次に訪れたのは、表具製造の今尾古今堂さん。木の枠に紙を張り合わせて作る襖や障子、屏風などはここで作られます。襖の上張りを木枠に張り、そこから丁寧に紙を張り合わせていきます。昔は大きな紙はなかなか手に入らなかったので、小さい紙を一つ一つ重ねて張っていったそうです。華やかな屏風が完成するまでには、気の遠くなるような工程があるんですね。
表に張る布は、手作りの刺繍が施されているものはとても高価で、中には値段がつけられないものもあるそうです。「本国へ持って帰りたい」と白紙の小切手を差し出した外国人富豪もいたそうです。
小さな紙を張り合わせていきます
小さな紙を張り合わせていきます
手作りの表布はとても高価なもの
手作りの表布はとても高価なもの

金箔匠阿久井

表にはこんな看板も
表にはこんな看板も
仏像や仏具などの表面に張る金箔も、お寺とは切っても切れない関係があります。次に訪れたのは、金箔師の阿久井さん。非常に薄い金箔をさらに伸ばしてさまざまな形のものに張る技術は海外からも評価され、ベトナムのお寺に出張して仕事をされたこともあったとか。
製造工程は、まず専用のうるしを塗ってからさっとふき取り、その上から金箔を一つずつ張って伸ばしていきます。ごく薄い金箔を扱う、とても神経を使う仕事です。
こちらで販売されている純金箔打紙製法のあぶらとり紙は、知る人ぞ知る逸品で、わざわざ遠方から買い求めに来られるファンも多いとか。
小さな金箔を薄く伸ばして、継ぎ目のない一つの金の板に
小さな金箔を薄く伸ばして、継ぎ目のない一つの金の板に
季節や天候によってうるしの種類を変えます
季節や天候によってうるしの種類を変えます

冨田工藝

2015年に改装したギャラリー形式のショップ。工房はこの奥
2015年に改装したギャラリー形式のショップ。工房はこの奥
次に訪れたのは、仏像・位牌制作の冨田工藝さん。顧客の注文に応じて原材料から製品を彫り、形作る工程までをこの工房で行います。仏像は、台座を含めて何個かに解体でき、内部は空洞になっているそうです。これは、お寺が火事に遭ったとき、解体して仏像を持ち出すことができるように軽くしているんだとか。空洞の中には胎内仏や施主の名前を書いた紙や髪の毛などを入れることもあるそうです。
お話を聞いている間にも、ギャラリーを兼ねたショップは海外からの観光客などでいっぱい。ちょっとした小物は、京都のお土産にぴったりかも。
職人さん所有の彫刻刀。これで全体の半分ぐらいだとか
職人さん所有の彫刻刀。これで全体の半分ぐらいだとか
位牌は、細かいパーツの組み合わせでできています
位牌は、細かいパーツの組み合わせでできています

五条坂京焼登り窯(旧藤平)

最後は、このツアーの終着点、五条坂京焼登り窯(旧藤平)。今は使われなくなった窯ですが、かつてこのあたりは数十基の窯が操業していた、京都のやきものの一大生産地でした。平成20(2008)年に京都市が購入し 所有するところとなったこの敷地(元藤平陶芸敷地)には、京都市内に現存するなかでも 最大規模を誇る登り窯と作業場、煉瓦づくりの煙突が、操業当時の姿を留めたまま残されています。
京都に今も息づく職人さんの手仕事は、なにものにも替えがたい貴重な文化遺産ではありますが、どの職人さんも一様におっしゃっていたのは、後継者の問題。誇りを持って取り組んできた仕事に違いないけれども、いかんせん後継者が育たない。「何よりも食べていけるだけの体制がないと」、ある職人さんの言葉です。伝統の技術を受け継ぐという心意気だけではできないとも。長年継承されてきた希少な技術、絶やしてしまうのはもったいない。関連サイト「受け継がれるもの」

ヤキノモ女子力、うつわ男子

「わん碗ONE」では、高島屋京都店、京都マルイでそれぞれ関連展示会を開いています。
高島屋京都店では、10月26日(水)から11月8日(火)まで、京都マルイでは、11月1日(火)から11日(金)まで、それぞれ「ヤキモノ女子力111のWAN~茶+器Fitting Salon」、「うつわ男子-Resonance-」と題して、若手作家の作品を展示。京都マルイでは、展示販売もしています。なお、「うつわ男子-Resonance-」は、ザソウドウ東山京都でも開催しています。お問い合わせは下記まで。
■ヤキモノ女子力111のWAN~茶+器Fitting Salon:浅井睦子 sarasvati.331@gmail.com / Facebookページ「ヤキモノ女子力」
■うつわ男子-Resonance-:中村譲司 contact@george-nakamura.com / Facebookページ 「うつわ男子」
ヤキモノ女子力111のWAN~茶+器Fitting Salon
ヤキモノ女子力111のWAN~茶+器Fitting Salon
うつわ男子-Resonance-
うつわ男子-Resonance-