受け継がれるもの 京の巧の技
1818年(文政元年)創業 疊三 中村三次郎商店(たたみさん なかむらさんじろうしょうてん)
疊三 中村三次郎商店さんは、これまで数々の国宝、重要文化財の寺院の畳修復を手がけてきました
「立って半畳寝て一畳」と言われるように、畳は古来より私たち日本人の生活に深く根付いています。
畳は床・表・縁の3つの部分から成り、各部位が植物の素材から作られています。畳床は畳の土台部に当たり、乾燥させたわらを縦横交互に約40cm積み重ね、5cmほどの厚みに圧縮して縫い上げます。畳表は文字通り畳の表のことを指し、乾燥させたイグサと綿糸または麻糸を用いて編み上げます。畳縁は畳表の縁を覆う布のことで、綿・麻または絹で仕上がった布製品を使用します。
一見すると全部同じ大きさに見える畳ですが、その大きさはすべて異なるのだそうです。
四角いはずの部屋もセンチ単位、ミリ単位で見れば歪んでいるのです。部屋に合った畳の角度や長さを割り出すため、ピタゴラスの定理や独自の計算法を用い、一枚一枚畳のサイズを調整します。ぴたりと隙間なく敷き詰めることが、畳師の腕の見せどころです。
『疊三 中村三次郎商店』さんは文政元年(1818年)創業、江戸時代より続く由緒ある畳屋さんです。
作業場の様子
伏見区にある作業場
作業場の風景
畳の位置を記した文字
作業に使われる道具
畳の端を切り揃える中村進さん
畳表を縫い留めていく
畳に紋縁を付ける中村誠之さん
ぴたりと一致した紋縁
次代の後継者、中村誠之さんにお話を伺いました
中村誠之さん
修行を始められてどのくらいですか?
また、この道に進んだきっかけはなんですか?
代々やってきてますので、幼い頃から家業を継ぐものだと思っていました。
20歳ぐらいからですね。畳組合の学校や仕事をしながら技術を身に付けました。
仕事をしていて大変だったことは?
畳同士をはめ込んだ際に、紋縁の模様がズレないように設計しなければならないことですね。修行を始めてから紋縁一筋です。
畳に対するこだわりは?
畳同士を合わせた時に紋縁がピッタリと合わさるよう、きっちりと作っています。
この仕事をしていてよかったと感じたことは?
納入先の方に喜んでいただけるとうれしいです。
また、畳は納入してすぐが見頃です。一番良い状態の畳を真っ先に見ることができます。お寺の仕事をやらせてもらっていて、一般の方が入れないところも特別に見られますので。
畳は日本の気候や風土に合った、我が国独自の優れたしつらいです。
畳表に使われるイグサには吸湿力があり、部屋の湿気を調節して快適な状態を保ってくれます。イグサの独特の香りは、精神沈静作用がある「フィトンチッド」という成分によるもので、心を落ち着けてくれるのだそうです。
私たち日本人にとって身近な存在である畳のこと、知っているようで知らないことばかりでした。
このすばらしい床材を、これからも隙間なく絆いでいっていただきたいと思います。
疊三 中村三次郎商店さん、ありがとうございました。
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